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『シークレット・オブ・ザ・タロット』についてのレビューを書いてみました。
シークレット・オブ・ザ・タロット について
シークレット・オブ・ザ・タロット
著者:マーカス・カッツ、タリ・グッドウィン
訳者:伊泉 龍一
出版:フォーテュナ
この『シークレット・オブ・ザ・タロット』は、ウエイト版タロットの制作者である、アーサー・エドワード・ウェイト、パメラ・コールマン・スミスの二人の説明が詳しくされており、この二人の観点をベースにタロットの解説をしています。
そのため、ウエイト版タロットを学ぶ上で、『タロット公式テキストブック』についで、読んでおきたい本と言えるのではないかと思います。
大アルカナのカードの解説部分では、下記の画像の赤線部分のようにウエイト、パメラがどのようにカードの絵柄、ディティール、方向性を考えていたかの解説があります。
もちろん、著者の推測の部分も多いですが、それでもウエイト版タロットを理解する上で、非常に勉強になる解説なのは言うまでもありません。
これらのカード解説以外にも、ウエイト版タロットデッキが出版された当時の様子なども触れられており、アレイスター・クロウリーがウエイト先生を『デッド・ウエイト』とディスってる話しなどは、必読です(笑)。
シークレット・オブ・ザ・タロット の主な内容
本書は序文や序章、幕間、後記などの細かい区切りとともに11の章で構成されています。
ここでは、主な内容のみ説明します。
1. ピクシー パメラ・コールマン・スミス
ウェイト版タロットのイラストを担当したパメラ・コールマン・スミスについて詳しく説明しています。
パメラ女史の写真やタロット以外の作品、生涯年表なども紹介されています。
他の書籍でもパメラ女史のことを説明しているものはありますが、ここまで詳しい内容が書かれているものはありません。
2. 研究者 A・E・ウェイト
アーサー・エドワード・ウェイトがどのように考えてタロットを制作していたかが詳しく説明されています。
その中には、カバラ(生命の木)をベースにコートカードや数字と性質を関連付けた表などもあります。
また、『おとぎ話しとしての大アルカナ』、『ウエイトとタロット』などの項目で説明されている大アルカナの象徴、パメラが小アルカナをデザインするために、基にした可能性があると言われる『Tの書』の骨子の一覧表は、一読の価値があります。
最後にはパメラ女史と同じくウエイト先生の生涯年表もあります。
3. ウェイト=スミス・タロット・デッキ
ウェイト版タロットが出版された当時の様子が説明されており、締切や宣伝、マーケティング、リールの可能性など、最初の出版がいかにバタバタだったかがわかります。
また、アレイスター・クロウリーがウエイト=スミス・デッキの出版をディスっているレヴューの全文が掲載されており、なかなか読み応えがあります(笑)。
また、この章でもパメラ女史がタロットデッキの景色に、どういう思いや考えを込めているかも説明&考察されています。
4. 大アルカナを解読する
ウエイト博士とパメラ女史の意図にできる限り近づけたとされる解釈が、一枚ずつ説明されています。
説明項目としては、一枚のカードとしてのデザイン説明、鍵となるそれぞれの象徴の説明、リーディングに出た場合、キーワードとコンセプト、ウエイト博士の観点、パメラ女史の観点、秘められた意味、リーディングのヒントと、多岐にわたっています。
ちなみに逆位置の説明はありません。
5. 小アルカナを解読する
パメラ女史のカードのデザインを基に、ウエイト博士自身の著書を参考文献としてそれぞれのカードを解説しています。
説明項目としては、一枚のカードとしてのデザイン説明、占い上の意味、逆位置が説明されています。(占い上の意味が正位置としての意味になります)
コートカードでは上記に加え、人物、自分自身の中にある要素、エネルギーといった項目の説明があります。
6. 小アルカナのためのカバラ
小アルカナのスートや数字と、生命の木(カバラ)との関連が説明されています。
スートごとにカードを生命の木に割り当てた図解などもあり、カバラが良くわからない人でも、なんとなくの雰囲気で理解ができるのではないかと思います。
絵柄から読み解く場合と、また違ったカードの理解ができると思います。
7. ウエイトのタロットの読み方
章題のとおり、ウエイト博士自身が勧めているリーディングのやり方が説明されています。
ウエイト博士が提示しているカードのキーワードなども掲載されていますが、大アルカナのみで小アルカナは掲載されていません。
8. その他
上記で説明してきたもの以外にも、スプレッドとリーディングの方法、パメラの音楽、カードの色など、色々な項目があります。
個人的に特筆すべき部分をあまり感じなかったので、割愛しています。
シークレット・オブ・ザ・タロット の個人的な感想
全体的にパメラ推しと言える本でしょう(笑)。
ここまでパメラ女史にスポットをあてた解説本は他にないように思います。
多くの書籍ではウエイト先生の言葉を引き合いに出して解説することが多いですが、パメラ女史が意図したであろう絵のモチーフや景色が紹介されることはあまりないので、それだけでこの本は貴重と言えます。
カードの解説が生命の木(カバラ)が中心であること、大アルカナと小アルカナで解説ボリュームに差があることが残念な部分ではありますが、それでもウエイト版タロットの理解を深めるためには、ぜひ読んでおきたい本だと思います。
個人的にタロットをきちんと学びたい人には、必ずオススメする一冊です。
他のタロット本とは類似していないことも、オススメする理由のひとつです!
以上、『シークレット・オブ・ザ・タロット【レビュー・感想】』でした。